100年以上前に人工降雨を実現させた男 チャールズ・ハットフィールド――。

 

近年、地球温暖化が進み、世界中で異常気象が多発している。日本においても夏季は昔とは違って、異常ともいえる猛暑が外を満たしている。

そのせいで農作物の高騰やダムの干ばつなどが問題視されている。

そんな時、人工的に雨を降らせることができれば、どれだけの問題が解決するだろうか。

実際に人の手によって雨を降らせる技術はある程度確立してあるが、それには様々な制限が設けられている。

たとえば、雲のないところで雨雲を作って雨を降らせることはできない。雨雲を人工的に作ることは現在の技術では不可能なのだ。

さらに、ある程度にまで発達した雨雲を利用して、雨を降らせたとしても、本来の1割ほどの雨量しか降らせることができない。

だが、100年以上前に1カ月の間、雨を降らせ続けたかもしれない人物がいる。

それが『レインメーカー』という異名を持つ「チャールズ・ハットフィールド」という男だ。

 

完璧な人工降雨を完成させた男性  チャールズ・ハットフィールド

 

チャールズ・ハットフィールドは、1900年代前半に活躍したアメリカ合衆国の気象学者だ。

彼は生前、現在の科学でも成し得ていない完璧な人工降雨を成功させた人物でもある。

 

事の始まりは、チャールズが10歳頃。

彼の父は農家を営んでいたが、天候に影響で干ばつなどが発生して、思うように経営が伸びずに廃業することとなった。

その数年後のある日、かつての父と同じように天候に左右されて不況が続いている農民を見て、あることを思いつく。

「人間の手によって雨を降らせることができないか?」

その閃きのもとは、彼が子どもの時に読んだ本が影響していた。

その本には『大砲を撃った後には雨が降る』という、土ぼこりが降雨に関係するという記述がされていた。

これを理由にチャールズは人工的に雨を降らせる技術の開発に着手し始めた。

実に4年の歳月を経て、彼は人工降雨の技術を完成させた。

チャールズが完成させた人工降雨のやり方は、地上6メートルほどのやぐらを組み立てて、その上から薬品を調合して煙を発生させる。その煙を散布して雨雲を発生させ、雨を降らせるというものだった。

これは現在でもどのような技術・薬品を用いて、人工的に雨を降らせているのか分かっていない。

もともと雨雲のある場において雨を降らせることはできるが、雲のない場所で雲を発生させて雨を降らせるという技術は、現在では確立していない。

さらに現在の人工降雨の方法は、航空機などを用いて高所から行うものであり、地上数メートルの場所から雨雲を発生できるということはできないと言われている。

 

では、なぜチャールズの技術は現代に伝わっていないのか。

それは人工降雨技術の成否を巡った1つの事件があったからだ。

 

人工降雨技術を完成させたチャールズは、それを使って商売を始める。

だが、始めた当初はやはり眉唾と言われる始末であり、「雨が降らせることができなければ無償、降らせることができれば報酬をいただく」と言って雨を降らせる商売を始めた。

その自信のある発言は根拠に基づくものだったと、すぐ世間に知らしめられた。

幾度に渡って、失敗させることなく雨を降らせることに成功したからだ。それによって、彼の名と功績はアメリカ中に伝わることとなった。

そんな折、彼に転機が訪れる。

1916年、その年はサンディエゴのダムが大干ばつに襲われていた。

水が底をついたことにより、人工降雨を行ってほしいという依頼がチャールズのもとに舞い込んでくる。

彼はこれまでと同じ方法で人工降雨を成功させたが、不思議なことに雨が止む気配がまるでなかったのだ。

そのまま一か月以上、雨は止むことなく降り続けた。

当然、ダムは決壊。大干ばつの次は大洪水に陥ってしまったのだ。

チャールズは雨を降らせる方法を成功していても、雨を止ませる方法は考慮していなかったのだ。

そうして、「大洪水を起こした」という理由でチャールズは裁判にかけられる。だが、当時の裁判員は、「人工降雨は科学に基づいて降らせたものではなく、偶発的に降った自然現象」という結論づけた。これにより、チャールズは無罪となった。

当然、公的な場で自らの技術が否定された結果になったチャールズは、その後人工降雨を行うことをやめた。

以後、人工降雨技術が継承されることなく、83歳に死去。

彼は、誰にも人工降雨技術を教えることなくこの世を去った。

チャールズが人工降雨の商売を始めて26年間で失敗したのは実に2回しかなかったという。

雨雲を発生させて雨を降らせるという現代では成し得ない技術は、どのようなものなのだろうか。

未だに議論がつきない疑問であるが、サンディエゴでは上記の功績がその後認められ、今では碑石が建てられている。

ただでさえ眉唾が多い気象操作の技術であるが、事これに関しては100年以上前に確立していた技術である。それが現代で蘇って問題を解決する日は近いのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

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巴瀬 春哉(ともせ しゅんや) 文芸とサブカルチャーが好き。 宮城県生まれ東京在住の22歳。 本には詳しくないが、本は好き。おもに映画、漫画、ゲーム、小説のことをブログに書いている。 ご連絡はお問い合わせからお願いします。