不純で恋しくいとおしい――『さっちゃん、僕は。』【おすすめ漫画紹介・レビュー】

こんにちわ、巴瀬春哉(@tomosesese)です。

本記事は、巴瀬がおすすめするイチオシ漫画の紹介です。

 

タイトルは『さっちゃん、僕は。』

ポイント
●Web誌『少年ジャンプ+』で連載されている漫画

●2017年12月期ブロンズルーキー賞を取った20歳の鬼才が描く異色の物語

●独特な切り口と繊細で淡い作画

●隣に住む夫のいる女性と関係を持つ主人公

 

上京した大学生が送る人間模様とその関係性。

新たな環境の変化で自覚した感情と想いを描くストーリーが注目の作品です。

「少年ジャンプ」

あらすじ

主人公・京くんこと片桐京介。その彼女であるさっちゃん。

京くんは高校卒業を機に東京の大学へと引っ越してしまう。地元の大学へと進学するさっちゃんとは遠距離恋愛となる。

引っ越した先の隣の部屋は人妻な国木田紫乃だった。

些細なきっかけから交流を持ち、しまいには体の関係に至ってしまう。

彼女へ手紙を書きながら、違う女性のことを想ってしまう京くんは、今までにない感情を自覚し始める。

彼女に関係を隠し続ける中で大学のほうでも新たな人との繋がりを作る。

感情の起伏が浅い京くんに芽生える感情と想い。

行き着く先は幸福かそれとも破滅か。

『さっちゃん、僕は。』とは

 

『さっちゃん、僕は。』連載開始記念PV

『さっちゃん、僕は。』とは、2017年12月期ブロンズルーキー賞『俺たちの存在証明』の作者・朝賀庵さんが描く遠距離恋愛ストーリー。

2018年7月には同作者の読切『兄の妻と旅行する話』が掲載。

タイトルの通り、急遽兄の妻と旅行することになった主人公。ひそかに兄の妻に想いを寄せていることを告白して想いを晴らす、心温まる人情ストーリー。

独特の切り口と淡く繊細な作画が話題を呼んだ朝賀庵先生の新作が『さっちゃん、僕は。』となります。

『さっちゃん、僕は。』は2019年7月から連載が始まり、10月には単行本1巻が発売されます。

「少年ジャンプ+」で連載されていて、Webとアプリの両方で読むことができます。アプリ版だと初回が全話無料で読むことができるので初めての人はそちらをチェックしてみましょう。

 

物語の内容はというと。

記念すべき第1話目は、彼女からセックスを拒否され、隣の部屋の人妻とのセックスで童貞卒業という読者の感情を弄ぶような波乱なストーリーとなっています。

朝賀庵先生はTwitterでも「不純な恋愛漫画」と称していて覚悟はしていましたが、

主人公お前なにしてんだっっっっ!!!!

と思わず叫んでしまいました。

だってですよ。

めちゃくちゃ純情で可愛い彼女がいる主人公が第一話の中盤で早くも隣に住む夫のいる女性と関係を持つという展開、誰が予想できますか。それも少年ジャンプで。

けれど、毎回読み終わったあと「みんな幸せに終わってほしい」という感情が芽生えるストーリーなんですよ。

題材が題材ですが、ストーリー自体は主人公の語りが多く入り、淡々としていて、どす黒くならないバランスとなっていて、そこが朝賀庵先生の魅力でもあります。

 

登場人物紹介

 

京くん(片桐京介)

●主人公。感情の起伏がない無表情男子大学生。

高校の頃から付き合っている彼女・さっちゃんがいるが、上京を機会に引っ越した先の隣に住む国木田紫乃と関係を持つ真面目系クズ。

東京という新たな地と新たな関係によって自分が知らなかった感情を自覚するようになる。

 

さっちゃん(小山内早智)

●京くんの彼女。純情で裏がなさそうな女の子。ふわふわで天然な性格。

京くんは上京したが、さっちゃんは地元のほうの大学に進学を決めた。離れ離れになっているが、お互い手紙を送り合って現状を報告している。

イマドキでは珍しく機械音痴。

 

紫乃さん(国木田紫乃)

●京くんの隣に住む人妻。無感情なうえにかなり痩せている。

ふだん冷めているところが京くんと似ている。京くんをからかって遊んでいたところ、関係を持つ。

まれに意味ありげなセリフを残してたり、陰りを見せる場面があり、事情が深そう。

出張が長い夫がいる。

 

不純な関係と恋しくていとおしい主人公の想い

 

『さっちゃん、僕は。』は、おもに主人公が彼女へと宛てた手紙をモノローグに使っています。

彼女に伝える言葉とは裏腹に後ろめたい関係を平然と続けることによって、今まで自覚していなかった感情を知ることになります。

さらに大学生活の中で出会う人たち。

自分とあなたは同類だと宣言する後輩。訳ありげに敬遠する同級生の女の子。

好きだから愛している。

好きだけど愛していない。

不純な関係を持つ紫乃に問われる主人公がどう答えをみつけるのか。

無感情で無気力に見える主人公のうちで見え隠れする想いと感情が人間らしさを引き出します。

 

話の内容としては、けっこう重い部類ですが、それを感じさせない書き手の力量が素晴らしいです。

ウェブ連載だとしても、あの少年ジャンプでこんな繊細な作品を読めるだなんて! とめちゃくちゃ感動しました。

アプリ版では初回読みが無料なので、ぜひ読んでみてください。

『さっちゃん、僕は。』は2019年10月4日に1巻発売です!

ABOUTこの記事をかいた人

巴瀬 春哉(ともせ しゅんや) 文芸とサブカルチャーが好き。 宮城県生まれ東京在住の22歳。 本には詳しくないが、本は好き。おもに映画、漫画、ゲーム、小説のことをブログに書いている。 ご連絡はお問い合わせからお願いします。